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大分の新スポット「うみたまご」−本格的な海洋レクリエーション基地を目指し、整備が進む田の浦地区−
高崎山から田の浦地区を望む
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地図(拡大図)
地図

 大分県の海岸沿い、大分市と別府市のちょうど中間点に位置する「田の浦地区」では、現在、官民一体となって海洋レクリエーション基地の拡充を目的として整備が進められている。今回はこの地区の注目スポットを紹介したい。

進む田の浦地区一帯の整備
 別府湾沿いに大分市と別府市を結ぶ国道10号線(通称、別大道路)は、1時間当たりの通行量が2千台を上回る産業・経済の大動脈であり、平日、休日を問わず、慢性的な交通渋滞が発生し、大きな問題となっている。
 また、田の浦地区は、古くから親しまれてきた県内有数の海水浴場でもあるが、近年は海岸の砂浜の侵食が激しく、回復、保全の必要性がでてきた。
 こうした事態を打開するため、平成2年度から、国、大分県、大分市によって海岸環境整備事業、緑地整備事業、国道整備事業などが行われている。
 
田の浦地区の中核施設「うみたまご」
田の浦地区の中核施設「うみたまご」

田の浦地区の中核施設「うみたまご」
 田の浦地区の中核施設として存在感をみせているのが「大分マリーンパレス水族館(うみたまご)」である。長い間人々に親しまれてきた「マリーンパレス」が40年ぶりのリニューアルにより、生まれ変わったのである。
 「マリーンパレス」は、元社長で大分市長も務めた上田保氏発案の「世界初」「日本唯一」のアイデア・試みにより、昭和40年代に黄金期を迎えた。「車窓型」の水槽ではなく、「回遊型」を採り入れたのは当館が世界で初めてであり、「マリーンガール(女性ダイバー)による餌付け」や、「魚の曲芸」は当時日本唯一のものであった。ラッコやアザラシのショーも当時としては珍しかったが、訓練や餌付けを来館者に公開したのは当館が初めてであった。これらのユニークなアイデアが見事に当たり、昭和47年の年間来館者数は116万人を記録、九州観光の一大スポットとして発展した。

田の浦海岸整備事業がリニューアルの転機
 しかしながら、昭和50年代以降、全国各地の水族館が設備面で猛追。特にバブル期には、規模において当館を凌ぐ施設が相次いで建設された。当館の来館者は大きく減少し、生き残り策を練っていたところ、ちょうど別大道路の拡張に伴う当館の敷地の収用と海岸埋立事業の話が持ち上がり、今回の決断に至ったのである。

うみたまごの魅力
 リニューアルに当たっては、バブル以降の大型化競争とは一線を画し、「動物となかよくなる水族館」「周辺の海や山と一体となる水族館」を目指すこととした。
 「うみたまご」のセールスポイントは、「空間を楽しめること」「生き物と触れ合えること」「景色を楽しめること」の3つである。これらが一体となり「うみたまご」の魅力を醸成している。
 絶好のロケーションを活かした設計の妙は、海と一体化したように見える人工渚「別府湾プール」に象徴され、美術館を思わせるアートな香りに包まれた空間は、年配の来館者にも落ち着きを与える。また、建物のバリアフリー化により、全ての人々が安心して利用できる施設となっている。この取り組みが評価され、平成16年12月に大分県知事から「おおいた・福祉のまちづくり賞」を受賞した。
 
別府湾と一体化した人口渚
別府湾と一体化した人口渚
 
 またここでは、世界最大級のタッチングゾーンを設け、来館者が様々な海の生き物と直接触れ合う場を提供している。波打ち際を再現した大タッチプールでは、ヒトデやナマコなどの磯の生き物を、魚プールなどでは、サメやエイなどにも触れることが可能である。今までの水族館は、「見せ物」中心であったが、「うみたまご」は、生き物をより身近に感じられるようになっている。
 「水族館の役割は、人間と動物がなかよくなるための橋渡しをすること」と橋本社長は語る。
 
世界最大のタッチングゾーン
世界最大のタッチングゾーン
 
 また、子供たちが海の生き物の模型で遊ぶことができる「キッズコーナー」は、一度遊び始めるとなかなか帰ろうとしなくなるほど子供の心をつかんでいる。
 このように、「うみたまご」は、お年寄りから小さな子供まで、それぞれの楽しみ方ができるスポットである。
 
子供たちに一番人気のキッズコーナー
子供たちに一番人気のキッズコーナー

8ヵ月で100万人を突破
 リニューアルオープンした平成16年4月の来館者数は、前年同月比7倍を記録した。11月28日には、ついに100万人を突破。大都市圏と比べて、立地面で劣る地方の水族館としては上々の滑り出しだろう。最近では、携帯電話で友達に水槽の魚などの画像を送信しながら、「うみたまご」の実況中継を行う人も多く、口コミならぬ"携帯コミ"も人気を後押ししている。「当面の目標は、130万人突破」と橋本社長は語る。
照明にもこだわった幻想的な水槽
照明にもこだわった幻想的な水槽

大分県内の観光における期待
 別大地区には別府温泉のほか、「アフリカンサファリ」「ハーモニーランド」など、多くの観光資源が揃っているが、「うみたまご」もその1つである。ちなみに、これまでの「うみたまご」来館者の内訳をみると、県外客が7割と圧倒的に多い。今回、新しい観光スポットである「うみたまご」が産まれたことで、県外からの観光客が一段と増加するに違いない。当館の年間来館者数130万人の目標達成は時間の問題であろう。

田の浦公園に待望の飲食施設
 「うみたまご」から車で大分方面に5分程走ると、平成16年7月19日(海の日)にオープンしたお洒落な建物がある。
 毎年、田の浦海岸には8万人を超える海水浴客を中心に1年を通じて多くの市民や観光客が訪れる。しかし、公園内には飲食施設がなく、利用者の不満も多かったため、これらの要望に応える形で大分市が飲食施設の設置に踏み切ったものだ。
人工海浜に生まれ変わった田の浦海岸
人工海浜に生まれ変わった田の浦海岸

「民設・公有・民営」のユニークなスキーム
 こうした中、当施設は従来の「公設・民営」方式や「第三セクター」方式ではなく、「民設・公有・民営」とも言うべき全国でも極めて珍しい方式が採用されている。それは、民間業者が施設を建設し、それを市に寄付、市が所有権を有し、運営を民間業者に委託するというスキームである。民間業者のメリットとしては、自身のコンセプトに合う施設の建設が可能で、営業内容にもある程度の裁量が認められるなど、従来型のスキームに比べ経営の自由度が一段と高いことがあげられる。また、行政サイドにおいては、施設建設などの初期投資がほとんどかからないこと、さらに民間のノウハウが最大限活用できること等がメリットといえる。

「エシェル・ドゥ・アンジェ」
 運営を委託された(株)フォーシーズンは、当該建物を「エシェル・ドゥ・アンジェ」(フランス語で「天使のはしご」の意)と名付け、1階においてレストランとウェディングホールを、2階ではカフェを営業している。
 「エシェル・ドゥ・アンジェ」のコンセプトは「脱日常」。激しく車が往来する「日常」の象徴でもある別大道路から、一歩海岸の方へ足を踏み入れると、「脱日常」の素晴らしい眺望が待ち受けている。
 昼間の海の眺望はもちろん、別府市の夜景も素晴らしい。その景観を楽しもうとオープン以来、レストランやカフェには予想を大きく上回る人が訪れているとのこと。コンセプトどおり、おしゃれに「脱日常」を過ごしたいリッチなエルダー層や女性客がたくさん訪れている。
 シェフ木村孝氏のフランス料理の腕前も一流で、リピーターも多い。
 
素晴らしい眺望をもつレストラン
素晴らしい眺望をもつレストラン
 
 また、当初レストランウェディングは宣伝不足もあり、出足は鈍かったが、口コミにより利用者が徐々に増え始めており、今後、好調を持続しているレストランとの相乗効果も期待されている。夜のウェディングでは花火を打ち上げ、当地ではちょっとした名物となっている。

おわりに
 官民一体となった海岸整備事業などが行われ、田の浦海岸一帯は、観光スポットとしての存在感が一段と増している。今後、この地区が観光スポットとして定着するには、リピーターをいかに確保していくかが課題である。「安・近・短」の旅行パターンが増加する中で、大分県観光の目玉となるべく、田の浦地区に大きな期待が寄せられている。
開発が進められている田の浦公園付近
開発が進められている田の浦公園付近

(林 文彦)

大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
運営   (株)マリーンパレス
社長   橋本 均
所在地   大分市高崎山下海岸
TEL(097)534-1010
URL http://www.umitamago.jp
入場料   大人 1,890円 小人 950円
幼児   630円
営業時間   9:00〜18:00
※土・日・祝祭日は夜間営業(18:00〜21:00)あり
愛媛からの交通アクセス
松山観光港より西大分港まで3時間25分
西大分港からバス約10分
松山観光港より別府観光港まで3時間30分
別府観光港からバス約15分
大分マリーンパレス水族館「うみたまご」
エシェル・ドゥ・アンジェ
運営   (株)フォーシーズン
社長   後藤 成
所在地   大分市新栄町13-1 田の浦公園内
TEL(097)573-8620
URL http://www.fourseason.jp
営業時間
レストランランチ(60席) 11:30〜15:30
レストランディナー(60席) 18:00〜22:30
カフェ(50席) 11:00〜23:00
レストランウエディング(120席)

エシェル・ドゥ・アンジェ





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